日本キチン・キトサン学会 Japanese Society for Chitin and Chitosan
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シンポジウム

第22回キチン・キトサン・シンポジウムを終えて


第22回キチン・キトサン・シンポジウム運営委員長
渡邉剛志

 第22回キチン・キトサンシンポジウムが、8月5日、6日に新潟コンベンションセンター朱鷺メッセで開催されました。今回は、特別セッション、一般講演、ポスター発表に加え、英国からProf. Daan van Aaltenを招待し招待講演を行いました。

 また、昨年の神戸でのシンポジウムではじめて設けられたポスター賞を継承し、優秀なポスター発表をおこなった学生を表彰しました。以下、本シンポジウムの詳細をご報告いたします。

会場風景 シンポジウム会場
 当初、経費が安くすむこともあって新潟大学を会場とすることを検討しました。しかし、農学部がある新潟大学の五十嵐キャンパスは、新潟市の中心部からバスで50分、電車を利用しても最寄りの駅から15分くらい歩くため新潟駅から40分以上かかります。近くにホテルが全くないため、参加者は新潟市中心部のホテルから1時間かけて通うことになります。一番暑い時期に長時間かけて通っていただくのは参加者の皆さんにお気の毒です。また、7月末から8月初旬は定期試験やオープンキャンパスなど大学の重要な行事と重なることも大きな問題でした。このように大学での開催はいろいろな問題がありました。

 あれこれ頭を悩ませているうちに、新潟市や新潟県にはコンベンション開催の為の補助金の制度があり、これをもらえれば学外で開催する場合に必要となる会場費をかなりカバーできる、ということがわかりました。それなら学外のもっと便利な良い会場でもなんとかやれるだろう、ということで学外での開催に一気に流れが変わりました。学外の会場となると、新潟市の中心部に位置し、学会開催に最もふさわしい施設と設備を備えた新潟コンベンションセンター・朱鷺メッセがまず第一の候補としてあがってきます。

 朱鷺メッセは信濃川河口に位置し、すぐそばからは佐渡島へのフェリーが出発します。まさに新潟を象徴するような場所と風景の中にあるコンベンション施設です。実際に施設設備を見学した結果もやはりここしかない、という結論でした。ただし、このコンベンションセンター朱鷺メッセの会場費をまかなうためには、県や市からの補助金を最大限獲得する必要があります。そのためには、300名以上の参加者が必要となります。最終的には充分な余裕を持って300名を上回ることが出来ましたが、ここから参加者300名以上というのが至上命題になりました。

発表件数と参加者
 今回のシンポジウムの発表件数は、招待講演1件、特別セッション6件、一般の口頭発表40件、ポスター発表47件、合計94件となりました。この発表件数は、昨年度神戸で行われた第21回のシンポジウム(計104件)には及ばなかったものの、福井で行われた第20回のシンポジウムにほぼ匹敵する発表件数でした。事前登録では正会員101名、学生会員38名、非会員10名、合計149名にご登録いただきました。事前登録数が昨年度よりすこし少なかったこともあって心配しておりましたが、当日登録、特に第2日目の当日登録が予想以上に多く、当日登録やスタッフなどを含め全参加者は331名にのぼりました。従って、懸案の全参加者数300名以上という補助金の条件は充分な余裕を持ってクリアーされました。

 本学会の関係者は圧倒的に西日本に多く、新潟および近県には会員が非常に少ないこと、関係者が多い西日本からのアクセスがあまり良くなく地理的にハンディがあることを考えると、これだけたくさんの方々にご参加いただけた今回のシンポジウムは予想を上回る盛会であったと言って良いと思います。会員の皆様のご協力に感謝いたします。皆様のご協力に加えて、新潟のおいしいお酒とおいしい食べ物の影響もかなりあったのかもしれません。

ポスター及び企業展示の会場 招待講演、特別セッション、一般講演
 今回のシンポジウムでは、櫻井会長や理事会の皆様のご理解をいただいて外国人研究者による招待講演が実現しました。講演者は、たくさんのキチン・キトサン関連酵素の立体構造を解明し、毎年たくさんの優れた論文を発表しているUniversity of Dundee のDaan van Aalten教授で、「Structure, mechanism and inhibition of "chitozymes"」という題で講演していただきました。

 また、特別セッションでは、キチン・キトサンに関連したバイオサイエンス分野で研究を展開している研究者の中で、その研究がキチン・キトサン関連分野だけでなく生命科学として高いレベルにあリ、さらに新しい分野を切り開いて行く可能性を秘めている、そのような研究を展開している先生方を集めたいと考えました。そして、そのコアとして、Daan van Aalten教授を招待講演として据えることによって、今後のキチン・キトサン関連のバイオサイエンス分野の新しい展開の方向を展望できれば、ということが漠然としたコンセプトです。

 いろいろな制限があり人選はなかなか困難でしたが、そのような考えに基づいて以下の先生方にお願い致しました。いずれのご講演も、大変レベルの高い充実したもので、今後のキチン・キトサン関連バイオサイエンス分野の飛躍を予感させる特別セッションとなったように思います。
  1. 「陸上植物の進化とキチナーゼ」
    平良東紀先生(琉球大)

  2. 「キチンオリゴ糖を介したイネといもち病菌の相互作用」
    西澤洋子先生(生物資源研)

  3. 「ファミリー19に属するモジュラーキチナーゼの構造と機能」
    毛塚雄一郎先生(岩手医科大学)

  4. 「放線菌のキチン分解系と分解産物輸送系」
    齋藤明広先生(千葉大)

  5. Pseudoalteromonas piscicida O-7株のキチン分解機構」
    宮本勝城先生(大阪薬科大学)

  6. 「多彩な顔をもつアロサミジン」
    作田庄平(東大大学院)
 招待講演と特別セッションは、朱鷺メッセ4階のマリンホールという名の国際会議場で行われました。一方、一般講演は3階の中会議室のA会場とB会場に分かれて行われました。今回のシンポジウムでは、特別セッションに酵素関係の演題が多かったせいか、例年より一般の口頭発表に酵素関係の演題が少なかったようです。

 前回のシンポジウム同様、今回も口頭発表はすべて液晶プロジェクター使用のみといたしました。実質的なシンポジウム準備に関われる運営委員の人数が限られていたため、この部分をどうトラブルなく進めるかが運営上の最大の問題でした。運営委員だけではとても充分なフォローが出来ず混乱することが予想されたため、やむを得ず映像関係の業者を導入しデータの取り込み・転送・映写をすべて任せることにしました。その結果、ほとんどトラブルらしいトラブルはなく非常にスムーズに進行し、業者に依頼したことは成功でした。

 しかし、やはりそれなりに費用はかさみ、結果的には映像関係の費用が運営費を圧迫する事になりました。この点をどう評価するかですが、液晶プロジェクターを使って発表用の映像を映写するという作業がスムーズにいくことが、現在のシンポジウムの形式では非常に重要です。限られた人数でそのための準備作業と当日の運営をしなければならなかったことを考えると、映像関係の業者の導入は今回のシンポジウムではやはり絶対に必須なことであったと考えております。

ポスター賞の表彰 ポスター発表・企業展示
 ポスター発表と企業展示は、一般講演が行われたA会場とB会場の前のホワイエを会場として行われました。エレベーターを上がってすぐの場所にある受付から見て、ホワイエの手前が企業展示、その奥がポスター会場という風に配置しました。

 ポスターは1日目の9時から11時までの間に貼付する事とし、ポスター発表のコアタイムは2日目の13:00〜13:50(ポスターの奇数番号)及び13:50〜14:40(偶数番号)に実施しました。コアタイムの時間にたくさんの人が詰めかけたため、それまでかなり余裕があるように見えたポスター会場がちょっと狭く感じました。準備に余裕があればですが、コアタイムを発表内容別に分けるような工夫があれば良かったのかもしれません。

 コアタイムの終了直前に、会長・副会長・理事の13名の審査員の投票により、ポスター賞受賞者3名を決定し表彰しました。このポスター賞は学生会員がより活発に研究発表を行うことを奨励することを目的としたため、学生が発表者であるポスターのみを対象としました。そして、「研究内容の優秀性」「ポスターの内容と表示法」「プレゼンテーション」の3点に着目して審査をお願いし、以下の3名が高得点を得、ポスター賞を受賞しました。
  • ポスター番号P-12
    「キトサンをコーティングした人工硬膜用ポリ乳酸フィルムの調製」
    牧真司氏( 関西大・化学生命工&HRC)

  • ポスター番号P-35
    「キトサナーゼの大腸菌での分泌発現」
    岩崎純也氏(佐賀大・農、鹿大院・連農)

  • ポスター番号P-47
    Streptomyces griseus HUT6037由来キチナーゼCの構造と機能の解明」
    吉田優氏(新潟大院・自然科学)

 企業展示は、9ブースに合計10社が参加して行われました。場所は、ポスター会場の手前のホワイエの両サイドで、ポスター会場やB会場にいく時に必ず目にするなかなか良い場所であったように思います。ご参加いただいた企業は、片倉チッカリン(株)、川研ファインケミカル(株)、(株)キミカ、甲陽ケミカル(株)、大日精化工業(株)、日本化薬フードテクノ(株)、ノーステック財団、北海道曹達(株)、焼津水産化学工業(株)、ヤヱガキ醗酵技研(株)(50音順)です。

 展示されている製品を手に、企業担当者と熱心に情報交換する多くの先生方の姿が大変印象的でした。この企業展示の場を、研究発表の場と異なるキチン・キトサンやオリゴ糖に関するより一般的な情報交換の場としてもっともっと活用出来ると良いなと感じました。この企業展示に関しましては、参加企業のとりまとめや配置・設営等のすべてを、本シンポジウムの運営委員でもある大日精化工業の山南氏が取り仕切ってくださいました。ありがとうございました。

選りすぐりの「新潟の酒」懇親会
 懇親会は、第一日目の総会終了後、ホテル日航新潟の31階にある展望室を借り切って行われました。31階の高さから、日本海に沈む美しい夕日を眺めながら、そして新潟のおいしいお酒と新潟の様々な食材を使ったおいしい料理を楽しみながら、参加者相互の交流を図るという趣向でした。新潟といえば、おいしいお酒・おいしいお米・おいしい食べ物と新潟美人が有名ですが、意外に県外の皆さんに知られていないのが日本海に沈む夕日と夕焼けの素晴らしさです。これを是非見ていただきたいというのが、この懇親会場を選んだ大きな理由でした。

 当日は曇り空で夕日が見えないのではないかと心配しておりましたが、なんとか日が沈む前に太陽が顔を出しました。しかし、いつもと比べてすこし控えめな美しさで、櫻井会長や来賓としてご出席いただいた新潟大学農学部の大山学部長のご挨拶の邪魔にならないよう夕日が遠慮したようです。是非、再度新潟においでいただいて本当の美しい日本海に沈む夕日をご覧ください。

 懇親会の参加者数は約185名、シンポジウム運営委員長の歓迎挨拶、櫻井会長のご挨拶、大山農学部長のご挨拶、そして佐賀短期大学の内田先生の乾杯の音頭ではじまりました。新潟での懇親会ですので、おいしいお酒とおいしい料理を皆さんが期待していることは、良くわかっておりました。そこで、新潟県の醸造試験場の渡邊健一場長にお願いして選りすぐりの銘柄を集めていただきました。それ以外にも菊水酒造株式会社から提供していただいた元禄期のお酒を再現したユニークなお酒や、吉乃川株式会社や朝日酒造株式会社から特別に提供していただいたお酒、それから新潟大学農学部のお酒「新雪物語」を並べました。多くは、純米吟醸酒、または特別純米酒です。

 また、懇親会のお料理には、黒崎茶豆、新潟産コシヒカリのおにぎり、十日町そば、越後もち豚、佐渡産のイカなど、新潟ならではの食材を使った料理が用意されました。少なくとも日本酒に関しては、参加者の人数から考えて絶対余るはずだと計算していたのですが、いつの間にか全部なくなってしまいました。私の予想を上回る酒飲みぞろいの学会であることがあらためて良くわかりました。

 懇親会の半ばに、次回のシンポジウム運営委員長である佐賀大学の光富先生から、佐賀でのシンポジウムのアナウンスをしていただきました。その後の歓談もあっという間に過ぎ、まだまだ飲み足りなそうな先生方もおられましたが、翌日のセッションを理由に散会といたしました。飲み足りなかった皆さんが、その後どうされたかは残念ながら情報はありません。

お礼
 今回のシンポジウム開催にあたり、キトサン工業会から協賛金を、新潟市コンベンション協会および新潟県から補助金をいただきました。ありがとうございました。参加者の皆様から立派な会場であるとご好評をいただいた朱鷺メッセでの開催は、これらの補助金・協賛金なしにはあり得ませんでした。

 また、今回のシンポジウムでは櫻井会長や理事会のご理解とご協力により、外国人研究者の招待講演を実施することが出来ました。櫻井会長にはシンポジウム準備の折に触れて適切なご助言を何度も頂戴しました。また、懇親会でお出しした新潟の銘酒は、新潟県醸造試験場のご協力により集めることができたものです。菊水酒造株式会社・吉乃川株式会社・朝日酒造株式会社からは特別にご協力いただきました。皆様にお礼を申し上げます。

 本シンポジウムの運営委員として、鯵坂 勝美(新潟薬科大学)、小柳 渉(新潟県農業総合研究所)、齋藤 明広(千葉大学)、山南 隆徳(大日精化工業株式会社)、城 斗志夫(新潟大学)、鈴木 一史(新潟大学)、太養寺 真弓(新潟県農業総合研究所)、原 崇(新潟大学)、森川 康(長岡技術科学大学)(敬称略、50音順)の各先生方にご協力いただきました。

 この中で最大の功労者は、実務をすべて取り仕切ってくれた鈴木一史准教授です。また、もう一人忘れてならないのは、キチン・キトサン学会事務局の田部井志保氏です。運営委員会からの様々な注文、時にはわがままのような注文にも快くご協力してくださいました。このお二人には運営委員長として、特に感謝の意を表したいと思います。

 最後に、招待講演・特別セッション・一般講演・ポスター発表の講演者および座長先生方、スタッフとして協力してくれた新潟大学および新潟薬科大学の学生たち、本シンポジウムにご参加くださったすべての皆様にお礼を申し上げます。

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