日本キチン・キトサン学会 Japanese Society for Chitin and Chitosan
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シンポジウム

第21回キチン・キトサン・シンポジウムを終えて


第21回キチン・キトサン・シンポジウム運営委員長
相羽誠一

運営スタッフ(案内ポスターを囲んで) 第21回キチン・キトサンシンポジウムが、去る7月26日、27日の2日間にわたり、神戸国際会議場で開催されました。
 
 今回は特別セッション、口頭発表、ポスター発表、市民フォーラムを行うとともに、初めてポスター賞を設け、優秀な学生の発表を顕彰しました。以下に本シンポジウムの様子を報告します。

 昨年4月に本学会会長よりの依頼を受け、関西地域での開催を模索しました結果、神戸で開催することとしました。過去における関西地域での開催は大阪、京都がありましたので、神戸空港の開港という、アクセスが良い点も考慮し、空港に最も近い会場を選定しました。また、今回は学会理事会で取り上げられた、他の多糖類の学会との相互乗り入れ、ポスター賞の創設も積極的に取り上げ、特色を出そうとしました。

 発表件数は、特別セッション6件、口頭発表47件、ポスター発表48件、計101件であり、昨年を越える件数となりました。また、海外からの発表者も増え、留学生、ポストドクなどの在住外国籍の方々を含めて、13件の発表がありました。ポルトガルの学生さんがはるばる日本にやってきて、2件もポスター発表していったことは驚きでした。参加者の方は、事前登録では正会員114名、学生会員36名、一般15名の計165名で、多数の登録をいただきました。当日も多くの方々が登録され、合計104名にまで上り、スタッフなどを含めて、延べ328名の参加者が集まりました。


特別セッション
 今回は、以前から議論されていた他の多糖類との分野融合を目指し、運営委員とも相談しながら、講師の先生方にお願いいたしました。幸いにも、本会会員ではない先生方も含め、ご快諾いただき、以下に再掲しましてお礼申し上げます。

 キチン、キトサン同様、セルロース、アミロースなどの多糖類はバイオマス由来であり、これからの持続的発展可能な社会の構築にはクリティカルな素材です。それぞれの特色を理解し、適材適所の活用が期待されています。今後もこのような取り組みが発展的に継続されますことを願っています。時間の余裕があれば、30分の講演ではなく、もう少し長めの講演にして、相互理解を深めたかったところです。

  1. Streptomyces thermoviolaceus OPC-520由来キチナーゼによる不溶性基質分解特性の解析」
    徳安 健先生 (食総研)

  2. 「超耐熱性キチナーゼ(Pyrococcus furiosus由来)が持つ結晶性キチン分解活性と立体構造の関係」
    上垣浩一先生 (産総研)

  3. 「キシラン分解系における新しい酵素の発見と応用:還元末端エキソオリゴキシラナーゼ(Rex)」
    本多裕司先生 (石川県立大)

  4. 「キチン・キトサンナノファイバーの材料開発」
    Assoc.Prof. Suwabun Chirachanchai (Chulalongkorn Univ.)

  5. 「酵素合成アミロースの物性と機能」
    北村進一先生 (大阪府大)

  6. 「高位置選択的置換セルロース誘導体の化学合成と機能」
    中坪文明先生 (京都大)

A会場口頭発表
 今回から発表は液晶プロジェクターのみにしました。特に異論はなく、スムースにデータコピーと投影が行われましたが、演者からのUSB データの発表会場での事前入力のお知らせの周知徹底が十分でなく、参加者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをこの場をお借りしてお詫び申し上げます。いただいたデータはすでに全て消去いたしました。

 26日午前中のA会場では、キトサンを用いた医用材料への応用に関して6題の口頭発表が行われ、活発に討論されました。27日にはキトサンナノファイバーを用いた医用材料、そしてキトサンなどの生理活性について多様な特性が議論されました。特に、キトサン関連物質の実際の臨床検査での調査結果は非常に興味深く、今後これらの材料が幅広く医療の分野で実用化される事を期待します。


B会場 B会場では、第1日目に6題、第2日目に18題の発表がありました。発表の多くは昨年と同様に動物、植物、および微生物由来のキチナーゼ、キトサナーゼに関するものであり、海外からの発表も第1日目に1題、第2日目に1題ありました。

  いずれの発表も興味深い内容を含んでおり、そのため活発な質疑応答が行われ、予定時間を超過することもしばしばであり、今後の進展に期待が持たれます。いくつかの発表では議論が過熱し、座長の先生方には発表時間の調整にご苦労されたかと思いますが、ここにお礼申し上げます。

ポスター及び企業展示の会場ポスター発表
 恒例になりましたポスター発表ですが、今回は48件もの申し込みがあり、過去最多になりました。理事会からの要請もあり、学生の発表に関してポスター賞を授与することを試みた結果かと思います。

 若い方々がパソコンを駆使して、インパクトが有り、わかりやすいポスターを製作する励みになればと思います。ここに受賞者を再掲し、祝福したいと思います。発表内容と受賞者の声は別の記事をご参照ください。

  • 「キチンから分枝型アミノ多糖の調製とその性質」
    田邊祐騎氏 (成蹊大)

  • 「モノN-アセチルキトサンオリゴ糖を用いた新規キトサナーゼ活性測定法の開発」
    平野勝紹氏 (鹿児島大)

  • 「キトサンマイクロエマルジョンから作製したキトサンフィルムの特性」
    垣内理恵氏 (京都工繊大)

懇親会の会場企業展示
 恒例になっております企業展示には10社もの参加をいただきお礼申し上げます。ポスター会場に併設しましたので、全体が一体的になり、情報交換が活発になったのではないかと思います。


市民フォーラム
 シンポジウム1日目の午後、特別セッションと並行して「生活の中のキトサン(化粧品、健康食品)」というテーマで、一般市民参加の市民フォーラムを開催しました。神戸国際観光コンベンション協会の協力もあり、93名もの参加者を得ることができました。両先生のわかりやすい講演によって、一般市民の方々に正確なキチン、キトサンの姿が浸透していったのではないかと思います。
  1. 「キトサン、グルコサミンとメタボリックシンドローム」
    甲陽ケミカル(株) 坂本廣司先生

  2. 「人と環境にやさしいキトサン〜その多様な化粧品への応用」
    ピアス(株) 濱田和彦先生

ポスター賞の表彰懇親会
 今回のシンポジウムでは今までとは違って趣向を凝らし、神戸港のクルージングとしました。神戸国際会議場からバスで桟橋まで移動しなければならないため、時間調整、乗車人数などでスムースにいくか心配でしたが、渋滞もたいしたことなく、時間どおりに乗船できました。

 当日の午後は夕立があり、バスに移動するのに濡れるのではとやきもきしましたが、幸い、乗車の時は晴れてくれました。瀬尾委員と深溝委員のおかげで乗船後はスムースに懇親会が進行し、会長挨拶、鈴木益子先生の乾杯の挨拶で始まりました。

 参加者は190名で、この人数では1会場では入りきらず、上階の部屋と分けなければならなかったのが残念です。参加者は外のデッキにも出ることができ、神戸港の夜景を堪能できたのではないかと思います。また、そのデッキから見える波間の夜光虫の神秘な光に魅了された方も多かったのではないでしょうか。

 あっという間に時間が過ぎ、次回のシンポジウム委員長である渡邉剛志先生からのアナウンスと第8回アジア太平洋キチン・キトサンシンポジウムの運営委員Dr.Nitar Nweからのアナウンスをいただき、お開きとしました。クルージングの時間が決まっているので致し方なく、全員、心を残しつつ散会となりました。しかし、この盛り上がりを持続して、三ノ宮、元町などへ繰り出した諸先生方も多かったのではないでしょうか。


お礼
 今回のシンポジウムを開催するにあたり、協賛金をいただきましたキトサン工業会、神戸国際観光コンベンション協会、中内力コンベンション振興財団にお礼申し上げます。

 当日は梅雨が明けてすぐでしたが、かなりの猛暑で、お昼に外へ昼食に出られる時はかなり難儀ではなかったかと推察いたします。また、神戸国際会議場の会議室の配置上から、A会場とB会場が離れていたこと、エレベーターの位置がわかりづらかったことなどのため、皆様には移動に手間をとらせたのではないかと、お詫びする次第です。前回に懸念されていたインターネットは各階に無料の端末が置かれてあったので、ご利用された方も多いと思います。今後もこのような環境は整備されていくことを期待します。

 最後に本シンポジウムを開催するにあたり運営委員の諸先生方、会場で座長をしていただいた諸先生方に、この場を借りて心から御礼申し上げます。

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